2019年9月14日土曜日
いよいよ明日MGC 号砲
東京五輪のマラソン代表を決める注目のグランドチャンピオンシップ(MGC)の号砲は15日に鳴る。五輪とほぼ同じコースを走る男子31人、女子12人の中には、歴代のオリンピアン(五輪出場選手)の意思、会社や部の伝統を背負って走る選手も多い。レガシー(遺産)を受け継ぎ、新たな歴史を紡ごうとするランナーたちを紹介する。
【一覧】MGC出場の男子選手
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森下広一監督と二人三脚で五輪を目指して12年。「山の神」と注目され、2007年にトヨタ自動車九州に入社した今井正人は35歳になった。「これまでの集大成。経験したことをすべてぶつける」。時間の長さが言葉に重みを持たせる。
森下監督が銀メダルを獲得した1992年のバルセロナ五輪。福島県で生まれた今井は小学2年生だった。「当日に体調を合わせてどんな展開にでも対応でき、気象条件にも関係なく力を出していた。本当の強さを感じた」。森下監督の走りに憧れを抱き、順大から福岡の地に赴いた。
当時は周囲の評価と自分自身が感じる「強さ」のギャップに悩んでいた。「大学では箱根でしか結果を出していない」。森下監督も注目のスターを慎重に育てた。入社後3年間は地力をつけさせ、成長過程を見極めながら自身の考えや体験談を少しずつ注入した。14年の別府大分毎日で初めてサブテン(2時間10分切り)を出し、15年の東京で2時間7分39秒の自己ベストを記録。時間はかかったが、少しずつ成長した。15回走ったフルマラソンを通じ、「作戦や負けた悔しさ…。掛けてもらった言葉のすべてが監督の経験に基づいている」と感謝する。
今年7月、「モンジュイクの丘」の話を聞いた。バルセロナ五輪の終盤、丘を上り終えて一息ついた隙を突かれて黄永祚(韓国)に引き離された場面だ。「上りの後に下りがあるとは思わなかった」と聞き、レースへの準備と展開をイメージする大切さを学んだ。
今回はラスト5キロの上り坂が注目されるが、6月と7月に試走して上りの合間に下りがあることも確認した。「いろんなレースを経験してきたので、どんな展開になっても対応できる」。師弟で紡いだ経験値は負けない。 (末継智章)
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